前回の記事でドアの本体まで出来上がったので、今回はスムーズな動作の要となるレールを作っていこう。
前編を読んでない方はこちらからどうぞ↓
下部レール
本来フルフラットを目指すなら床材に直接溝を掘るべきだろうが、めんどくさいので1×4に溝を切って埋め込む形にした。
なにこのパチンコ感(困惑)
旧和室の床面はリビングに合わせて15㎜にするので、1×4を使っても4㎜ほどしか高さが変わらない。これならほぼフラットとだろう。四捨五入すれば0だし。
既存の床上に設置したとしても19㎜程度なら段差としてそこまで気にならないと思う。今回みたいな収納の引き戸なら、段差が邪魔になる場面はほぼ無いんじゃないかな?
レール間隔の設定
2枚以上の引き違い戸にするなら、レール間隔も考えなければならない。ドアの厚みと戸車の前後位置で変わってくるので現物合わせが一番だと思う。
僕はこんな感じでレール間隔を合わせた。ギリギリ狙いすぎると歪みなどで干渉する可能性があるので、ある程度余裕を持っておいた方がいい。
現段階でハンドルが付いてないなら取り付け後の厚み分も加算する。取付面がフラットになるハンドルもあるけど、掘り込みする事になるので加工は面倒になる。
最終的な計算値はレールの中心間隔になるので、どんな幅のレールもこれで対応できる。
1×4に溝を切る
1×4の溝切りは丸ノコ本体と前回も紹介した丸ノコ定規があれば余裕。
まぁ前回も紹介したんだけど、長物の溝切りするなら持っておいた方がいいよ、うん。
特に今回みたいに精度を要求される場面だとこいつかテーブルソーが無いときつい。
今回は9㎜角のVレールなので、最初に2本の溝の両端が9㎜になるように加工。スカスカになるとマズイので、「気持ち狭いぐらいの幅」を目指そう。
次に2本の溝の間にも溝切りをしていく。残った部分がグラつく感じになれば十分。
丸ノコ刃のセット方法に注意
シビアなカットの場面だと、鋸刃の幅にも気を付けなければいけない。僕が今使ってる丸ノコ刃は1.6㎜の厚みなので、合わせる方向を間違うだけで3㎜以上幅広になっちゃう可能性がある。
僕も右みたいなミスをたまにやってるので注意してほしい。意外と抜けちゃうんだよこれ…。
深さ方向のセットも幅と同じ感覚で、浅めから徐々に合わせていくと失敗しない。
深さの調整はスコヤなどを使えば簡単。丸ノコをひっくり返してベースに当ててやれば正確に測れる。どの丸ノコでも調整方法はそこまで変わらないと思う。
どちらの調整にも言える事だけど、廃材などで試し切りするのが一番確実でおススメ。
レールをはめこむ
まずは先ほどの溝切りの残り部分をノミと金槌で削り取る。幅の狭いノミがなかったのでマイナスドライバーでやってるけど、溝切りが十分できてれば簡単に除去できる。
レールをはめ込む時にスカスカじゃなければ、ボンドなどの固定も不要。ドアの自重で常時押し込まれるので浮き上がりも心配いらない。
今回の限らず、叩き込みやはめこみでハンマーなどを使う場合は当て木をするようにしよう。当て木なしで1×4材をたたけば、軽い力でも一発で凹んじゃう。
レールの継ぎ足し
最初に紹介したように、レール1本の長さは1800㎜や2000㎜が一般的なので部屋の両端まで設置したい場合は継ぎ足す必要がある。
これは溝切った木材の方も同様だけど、ズレを最小にしたいなら継ぎ目の位置はずらした方がいい。
余った分は金切り鋸でカット。特に力もいらず楽にカットできるので、長さの調整で億劫になることは無いだろう。
ここで下レールは完成となるので、いったん前後のドアを乗せてからスライドさせてみて干渉しないか確認しておこう。
上部レール
最後に上部レールを仕上げていく。手順は↓のような感じ。
ドアを作った時点で凸部分を付けなかったのは、使用する木材の選定が難しかったからなのよね。この時点なら全体像が見えてるからレールと凸部の木材の選定がやりやすい。
特に複数列の引き戸を作る場合は、厚すぎる木材使うとはみ出す恐れがある。かと言って薄すぎると取り付けが難しいし、破損しやすくもなるので全列で幅一杯になる木材を使いたいところ。
今回は凸部を12㎜合板、レール部は1×4を半分にカットしたものを使用すると丁度良かった。凸部材の幅を決める際は下部レールを仮置きして、ドアを載せてから決める。
↑は引き戸を手前から見た図だけど、各材料の幅(高さ方向)には十分注意してほしい。設計によって幅が大きく変わってくるので、上図や各写真のような見た目の間隔を参考にしてね。
凸部制作
一般的な引き戸の凸部はフレームと一体型になってるけど、今回は先の理由もあって後付け。加工自体も楽だしね。ただ、部材自体が薄いので取り付け方法はちょっと悩んだけど
結局無難に釘とボンドでくっつけた。ビスを合板側面から打ち込むと割れやヒビが入りやすいので、釘の方がいいと思う。狭い場所でも打ち込みやすいしね。
とにかくドアと平行に取り付けるのが大事。でもセンターにこだわる必要はないので、ドア本体を平置きして凸部材の下に10~15㎜程度の板を噛ませて取り付ければOK。
上レール部制作
今度は凹部の制作だけど、凸部幅より若干広く取り付ける。前後2㎜程度開いてれば十分。窮屈すぎると滑りが悪くなるので注意しよう。
位置決めの際は実際にドアを立てて合わせ、凸部に薄板を噛ませると均等な間隔になる。下がり壁に面材を貼らなかったのは、ここで固定の際クランプできるようにするためである。
上レールはあくまでガイドなので、ボンドのみの接着で十分だと思う。
同様の手順で前列も作っていけば上部レールは完成。
最終的に前板で隠すから見た目は気にしなくていいよ!
最終仕上げ
ここで粗方完成である。下部レールを固定する前に一度全て設置してみよう。
ここまでやり遂げて、スムーズに動いたらかなりの達成感だと思う。僕はここで一旦満足しちゃって数週間作業が止まった(;´・ω・)
取っ手をつける
今回は掘り込みのいらない薄型取っ手を使用。軽量かつ動きもスムーズな扉ならこの程度の取っ手で十分。隣の引き戸との干渉もしづらい。見た目も悪くないし、ビス止めだけなので加工がとっても簡単。取っ手だけに。
化粧シートを貼る
木材面のまま使用するならこの工程は必要ない。が、合板面をそのまま使うのは見た目が寂しいので化粧シートを貼った。
が、この工程説明してたら書き終わる気がしないので次回の記事で詳しく紹介したい。
下がり壁を塞ぐ
ここまで来たら完成間近なので、下がり壁は塞いでしまおう。今回は石膏ボードを貼ってモルタル塗りで仕上げた。
なかなかいい感じではなかろうか?モルタル塗りに関しては以下の記事で詳しく紹介してるので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。
ちなみにぶら下がってるのはプロジェクタースクリーンだけど、今回は気にしないでね!
上部レールを隠す
今の状態だと上部レールとドアの凸部が丸見えなので隠した方がより良い見た目になる。レールが隠れるぐらいの幅の板を貼ってやればOK。
幅が広すぎるとドアが外せなくなるから要注意
今回はアイアンペイントのブラックで塗装してみた。ぱっと見木材には見えない感じに仕上がるのでアクセントにおすすめ。水性だから扱いやすいよ。
結論:一生完成しないかと思った
予想はしてたけど、設計は気を遣うし工程も多くて大変だったよね…。でも作業自体は難しくないし、めちゃくちゃ低コストで作れるので手間をかける価値は十二分にある。
挑戦する場合はしっかり道具をそろえて、ゆっくりのんびり作るのがいいと思うよ!